公明党の得票数に関する一考察

◆国政選挙の比例得票数の推移から何が見える?

まずは、国政選挙における2003年以降の公明党の比例区における得票数の推移をご覧ください。

2003衆議院 約873万
2004参議院 約862万
2005衆議院 約898万 (郵政解散)
2007参議院 約776万
2009衆議院 約805万 (政権交代)
2010参議院 約763万
2012衆議院 約711万 (与党復帰)
2014衆議院 約731万

2005年の衆議院での約898万票をピークに漸減傾向にあることがお分かりいただけると思います。前回2014年の衆議院で、歯止めがかかったようにも見えますが、それでもピーク時に比べて約167万票、18%強の減少です。
もちろん、個々の選挙時の事情や、投票率など、考慮すべき要素はあるかもしれませんが、全体的に見れば退潮傾向にあると言ってよいかと思います。
この原因については、単純にこうだと結論づけることはもちろんできないでしょうが、要因として、次の2つが大きいのではないかと考えてみました。

①最大の支持団体である創価学会の事情に起因するもの。
これには、学会の会員数(有権者数)の減少、何らかの理由による選挙活動の停滞、といった事が考えられます。

②公明党の政策等に起因するもの。
これには、公明党独自の政策、自公連立政権における公明党の役割に対する有権者の不満等が考えられます。

◆創価学会の会員数の減少

まず①について考えてみましょう。
このサイトの別項(「組織の概要」)において、「学会の会員数、活動家数ともにピーク時(昭和40年代~50年代)より、長期低落傾向にあると見られます」と述べました。正確な数字を出す事はもちろん不可能ですが、死亡等による自然減や脱会者の数に対して、新入会者の数が追いついていないというのが現状のようです。
また、選挙活動を熱心に行う、いわゆる活動家数も減少傾向にあるようです。

組織の概要

ただ、2003年~2009年にかけては、2007年の参議院を除いて800万票台を獲得しており、少なくとも2005年までは、学会員数の減少はそれほどでもないようにも見えます。しかし、これに対しては、この時期の公明党が連立与党として存在感を発揮していた事が、評価されていた、という可能性も否定はできません。ただ、いずれにしても、2005年以降の退潮傾向は明らかでしょう。
会員数の減少以外に、何か学会の事情で選挙活動が停滞した可能性についてですが、これはあまり考えられません。過去には、学会は衆参ダブル選挙に弱いという定説があり、実際ダブル選挙では苦戦した例もありますが、このところダブル選挙は行われておりません。選挙が学会の最重要活動の一つであるという実態に鑑みても、会員数や活動家数の減少以外に、学会に起因する要素はほとんどないように思われます。

なお、学会員数と公明票との関係については、管理人の見解として、当サイトの掲示板に以下のように述べました。

このHPでは学会の実会員数を350万人程度と推定しました。これに対し、国政選挙の比例区での公明党の得票数が700万~800万である事に関して、かつては公明党の比例区得票数=学会員数という説がありました。しかし、20~30年前ならいざ知らず、現在ではあてはまらないと思います。確かに純粋な浮動票は少ないでしょうが、
①友人、知人等への依頼によるもの(いわゆるF票)は、日本人の義理堅さなどを考慮すると、馬鹿にならない数でしょう。
②連立を組む自民党と「選挙区は自民党、比例区は公明党」といった選挙協力があり、選挙区によってはこれが意外な効果をあげている例があること。自民党支持者は公明党に投票することに抵抗感のある人も多いようですが、それでも、自民党支持者から100万票程度は公明に流れていると指摘する専門家もいます。
③意外に大きいのが企業票です。名だたる大企業をはじめ、学会と取引のある企業はおびただしい数に上ります。公明党が与党となって以降は、この企業票がかなり増えているのが確実です。
以上の点を踏まえ、内部票(学会員による投票)が250万票程度(推定会員数の7割くらい、①~③を合わせた票が500万票程度と、私は推計しております。
◆自公連立政権における公明党への評価

公明党が連立与党の一員である時期は、1999年(平成11年)10月5日から2009年(平成21年)9月16日まで、及び2012年(平成24年)12月26日から現在までです。
2005年の衆議院選挙は、いわゆる「郵政解散選挙」で、自民党が圧勝しましたが、公明党も健闘し、比例区で約898万票を獲得しました。風が吹いたという面もあるでしょうが、連立与党としての公明党がある程度評価された結果と見る事も可能でしょう。
これに対して、2009年衆議院選挙は、政権交代選挙となり、民主党が圧勝。逆風を受けた自公政権は下野しました。この時の公明党の比例区票は約805万でした。
次の2012年衆議院選挙は民主党が惨敗して政権から転落し、自公が再び政権に返り咲きました。しかし、この時の公明党の比例区票は約711万です。自公が勝ったというより、民主党への失望が大きく、投票率も低下したため、相対的に自公が浮上しただけと言っても過言ではないでしょう。党首が落選するという逆風下の前回選挙より90万票以上減ったのは、見方によってはかなり深刻で、与党に戻ったとは言え、素直に喜べない結果かもしれません。
2014年の衆議院選挙では、約731万と幾分戻したようですが、それでも、逆風下の前々回選挙より70万票あまり少なく、郵政選挙の時に比べれば、約167万票、およそ18.6%の減少です。
政権与党に復帰して以来の公明党に対するこの低評価の原因としてひとつ考えられるのは、安倍政権のタカ派路線に対して、平和主義を標榜するハト派の公明党が、十分な抑止機能を果たしていないのではないか、という不満が、創価学会の内部にも少なからずあるという事です。集団自衛権の問題などで、公明党の平和主義は立派に機能したとする、例えば佐藤優氏のような意見もありますが、有権者の多くは、学会員を含めて必ずしも積極的な評価を与えてはいない、という事が、公明党の得票減から読み取れるような気がします。

◆独自性をもっと出さなければ、埋没する

過去に、自民党と連立した政党は、新自由クラブ、社会党、新党さきがけ、自由党などがありますが、社民党と名を変えて細々と生き残っている(失礼!)旧社会党以外は、消滅しています。公明党が唯一例外的に健闘していると言ってよいと思いますが、それは、創価学会という強固な支持基盤を持つ組織政党の強さに負うところが大でしょう。
しかしながら、その創価学会が、少なくとも数の面で漸減傾向にある以上、公明党も、過去に自民党と連立した諸政党の轍を踏んでしまう可能性がないとは言えません。安倍政権に振り回されていると見ている有権者が多い以上、今が公明党の正念場なのかもしれません。

◆東京都の区議選の結果に関する考察

今年(2015年)に行われた統一地方選挙でも、顕著ではないにしても、公明党の退潮傾向が見てとれました。
ひとつの具体例として、東京都の区議選における22区(葛飾区を除く)の得票を4年前(2011年)と比較すると、得票総数は、520,433→490,239と、30,194票、約5.8%の減少となっています。わずかに票を伸ばしたのは、千代田区と杉並区だけで、他の20区ではいずれも得票を減らしています。
地方選の場合には、国政選挙とは違うファクターがいろいろあるので、一概には言えませんが、野党時代に比べて票を減らしたのは、与党として駆使できるはずの諸々の強みを発揮できなかったと言われても仕方がないでしょう。
それ以上に、この結果が深刻なのは、国政における公明党の評価とは別に、地域、それも首都東京の選挙において、過去に絶対の強さを発揮してきた公明党=創価学会の組織力が弱りつつあるという現実を突きつけられた事ではないでしょうか。
選挙結果の分析については当サイトの管理人はもちろん素人ですので、専門家の方や見識の高い方から見れば、未熟な見解かもしれませんが、得票減という現実をどう捉え、どのような善後策を講じていくのか、公明党と創価学会の今後に注目していきたいと思います。